企業に対する営業としてFAXDMを利用する会社が増えています。一方で、企業宛てのFAXDMは違法になる、なんて話を聞いたことがある人もいるでしょう。そこでこの記事では、FAXDMに深く関わる特定商取引法について徹底解説します。FAXDMの利用を検討している方はぜひじっくり読んでください。
企業宛てのFAXDMは違法にあたる?
違法になることはありません。FAXDMにかかわる規制について記載している法律は、特定商取引法です。その特定商取引法は消費者を保護する法律であり、消費者は個人を指しています。
事業者を指しているわけではないので、現時点で企業宛てのFAXDMが違法になることはありません。
■個人に対するFAXDM送信の是非
個人に対するFAXDMの送信は、絶対に禁止されているわけではありません。特定商取引法では、相手からの請求または承諾がない状況でFAXDMを送ることを禁止しています。したがって、個人であっても相手方が送信について請求があったり承諾があったりした場合は、送っても問題はありません。
ただ、基本的に個人側がFAXDMの送信を認めるようなケースは多くないと考えられます。そもそも、事前にFAXDMが今後送られるという事実を相手が認識できるようにわかりやすく伝えたうえで承諾してもらわなければならないので、送る側の負担が重いのです。
■個人へFAXDMを送信する際は承諾の記録を作成しなければならない
さらに個人がFAXDMの送信を承諾した場合でも、その承諾の記録を作成しなければなりません。そのうえで1年間保存しておくことが義務付けられています。以上のように、企業にとって個人消費者へのFAXDMの送信の難易度は極めて高いのです。
特定商取引法とは
簡単に説明すると、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。事業者による違法・悪質な勧誘行ため等を防止しするためのものであり、もう少し具体的に説明すると、訪問販売や通信販売等の消費者トラブルを未然に防ぐ目的で施行されています。事業者が守るべきルールおよびクーリング・オフ等の消費者を守るルールなどを定めています。
■特定商取引法の対象となる取引
代表的なのが訪問販売および通信販売、そして電話勧誘販売です。訪問販売は事業者が消費者の自宅に訪問して、商品や権利の販売または役務の提供を行う契約をする取引であり、キャッチセールスやアポイントメントセールスが該当します。通信販売は新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便や電話、そしてインターネット等の通信手段により申込みを受ける取引のことを指しています。
電話勧誘販売とは、電話で勧誘を行い、申込みを受ける取引のことです。紹介したいずれの販売方法も、実際にトラブルが絶えない実情があります。そこで時代に合わせて、特定商取引法は改正されておりFAXDMに関しても規制されるに至りました。
■特定商取引法の対象となる消費者とは?
個人のことを指しています。したがって、相手先が事業者、つまりは企業の場合は適用の対象外です。個人の営業について規制された法律であり、その影響で事実上、個人に対するFAXDMはできないのです。
企業宛てにFAXDMを送るときの注意点
特定商取引法では規制されない企業宛てのFAXDMですが、自由に送信できるわけではありません。いくつか注意点があるので解説します。
■配信を停止(拒否)する方法を明記する
企業側としても、意図していない営業を受けるのはよい気分ではありません。とくにFAXDMに関しては、備え付けのFAXに勝手に送られてくるわけでインク代や用紙代などのコストも発生します。企業の中には、FAXDMを送ったことでクレームを付けてくることもあります。
そこでクレームにつながらないようにするためにも、必ずFAXDMの配信を停止(拒否)する方法を原稿内に明記する必要があるようです。もし配信停止を希望する場合は、次回以降は送らないように最大限注意しましょう。
■送信者の情報を明記する
送信者の情報もFAXDM内に明記しなければなりません。具体的には、社名・住所・FAX番号・電話番号などになります。DMの責任の所在を明記することになり、DMの信頼性にもつながる部分なのでDMの下部でもよいので、必ず組み込みましょう。
■クレームには誠実に対応する
FAXDMを企業に送信したことで、クレームの電話などがくることも考えられます。それらのクレームに対しては、誠実な対応が必要不可欠です。DMを送ったことで相手方が迷惑していると感じているため、まずは真摯に謝罪しましょう。そのうえで、今後は配信しない旨を伝えて、FAX番号など必要な情報を聞き出してください。もし業者に依頼してFAXDMを出している場合は、聞き出した情報を業者に伝えてください。
企業宛てのFAXDMに違法性はありません。特定商取引法で規制されているのは、あくまで個人消費者に対するFAXDMであるため、企業に対する営業にFAXDMを使っても問題はないのです。しかし送信するにしてもルールは守らなければなりません。配信を停止(拒否)する方法を明記し、そのうえで送信者の情報も記載しましょう。またクレームがあった場合は、真摯な対応が必要不可欠です。