FAXDM(ファックスダイレクトメール)は、BtoB(企業間取引)の営業施策として根強く使われています。しかし、自社で運用すべきか、外部のFAXDM業者に依頼すべきかで迷う企業も多いのではないでしょうか。本記事では、自社運用とFAXDM業者の活用について、それぞれの違いを比較しながら解説いたします。
自社運用のFAXDMとは?特徴と向いている企業像
自社でのFAXDM運用とは、送信リストの整備から配信、結果分析までをすべて自社のメンバーが担う方法です。設備投資やノウハウ構築の手間はかかりますが、柔軟性や独自の戦略を重視したい企業にとっては魅力的な選択肢です。
細かい調整や検証を行いたい企業に適している
自社運用は、送信リストの管理から文面作成、配信、分析に至るまですべての工程を社内で調整できるのが大きな特徴です。そのため、テスト送信やABテストを細かく実施しながら、文面やレイアウトの改善をスピーディーに行えます。
たとえば、ある特定業種の反応率を高めたい場合、訴求ポイントやデザインを微調整して小ロットで配信し、結果を見て次回に反映する、といった繰り返しの検証が可能です。
曜日や時間帯による到達率の変化もデータとして蓄積できるため、より精度の高い施策に育てていけます。また、過去の反応履歴をもとに、ターゲットリストの精度を上げることもできるため、継続的な改善を重ねたい企業にとっては有効な運用方法です。
初期コストを抑えられる場合もある
FAX送信機やインターネットFAXサービスなどをすでに導入済みであれば、業者に依頼するよりも低コストでスタートできます。また、社内でのオペレーションが確立していれば、ランニングコストも抑えられる傾向があります。
属人化や業務負担の増加には注意が必要
一方で、担当者の経験や知識に依存してしまうと、業務が属人化(特定担当者への業務集中)しやすくなります。送信リストのメンテナンスや送信タイミングの管理、レスポンス(反応)の分析など、地道な作業が必要です。社内の工数をしっかり確保しなければ、効果的な運用は難しくなります。
FAXDM業者の活用とは?メリットと適した活用場面
FAXDM業者とは、リストの提供、文面作成、配信、結果のレポートまでを一括で請け負ってくれる外部サービスです。初めてFAXDMを実施する企業や一定の成果をすぐに出したい場合にはとくに有効です。
ノウハウが蓄積された運用が可能
多くのFAXDM業者は、さまざまな業界や業種への配信実績を持っています。効果的な文面構成やタイミング、送信ボリュームなどに関する知見があり、初めてのFAXDMでも成果につながる運用が期待できます。レイアウトやコピーライティングの提案を受けられる場合もあります。
業務をすべて任せられるため効率的
送信作業やエラー対応、結果の分析までを代行してくれるため、社内の工数を大幅に削減できます。営業部門やマーケティングの担当者が本来の業務に集中できるようになり、全体の生産性向上にもつながります。
コストは割高になるケースもある
業者を使う場合、件数ごとの送信単価に加え、文面作成やリスト利用料などが別途発生します。キャンペーン的に一時的な施策として使うなら有効ですが、継続的な運用にはコスト面の見極めが必要です。依頼先の選定では、料金体系と実績を必ず確認する必要があります。
結局どちらが効果的?選び方のポイント
FAXDMの自社運用と業者依頼は、どちらが優れているという単純な比較ではなく、自社のリソースや目的に応じて選ぶべきです。ここでは、それぞれの状況に応じた判断材料を紹介します。
短期間で反応を得たいなら業者活用が有利
即時性や確実性を重視するなら、FAXDM業者のノウハウとリストを活用すると効率的に成果を狙えます。とくにイベント告知や新サービスの案内など、時期が限定されている施策には向いていて、高品質なリストと実績に裏打ちされた運用が可能です。
長期的に運用し、社内でノウハウを貯めたいなら自社運用
反応の蓄積やノウハウの内製化を重視するなら、社内でFAXDMを実施するメリットがあります。反応率の変化を継続的に追うことで、自社に合った文面や送信タイミングを発見できます。業者では再現しにくいきめ細かな戦略設計ができるのも自社運用の利点です。
ハイブリッド運用という選択肢も
一部を業者に任せつつ、日常的な配信は自社で行うといった併用も可能です。たとえば、月に一度の大規模配信は外部に委託し、週次のリマインド(再通知)FAXは社内で対応するなど、柔軟な組み合わせでコストと成果のバランスを取るハイブリッド(混合)運用という方法もあります。
まとめ
FAXDMの活用において、自社運用と業者への依頼にはそれぞれ異なるメリットと注意点があります。短期的に確実な成果を求める場合はFAXDM業者が適しており、長期的なノウハウ構築や柔軟な戦略を重視するなら自社運用が有効です。さらに、両者の利点を活かすハイブリッドな運用も、現実的な選択肢となります。重要なのは、自社の営業目標や社内体制に合わせて最適な運用方法を選ぶことです。FAXDMは今なお有効なマーケティング手法のひとつであり、活用方法次第で大きな成果が見込めます。自社における営業目的とリソース(資源)を明確にし、最適な手段で取り組むことが、FAXDM成功のカギを握ります。BtoBの営業施策を効率よく行う手段として、ぜひFAXDMを積極的に活用してください。