FAXDMは非常にシンプルかつ歴史の長い広告宣伝媒体です。パソコンや通信技術などが進化した現代でもFAXDMは使われ続けており、多くの企業が販売促進に活用し、成果を上げています。ここでは、FAXの普及と変遷、FAXDMの歴史、多様化した現代のFAXDMのあり方といったFAXの基礎知識ついて解説します。
FAXの普及と変遷
FAXはファクシミリとも呼ばれ、FAXはファクシミリを約したものです。ファクシミリは1843年にイギリス人のアレクサンダー・ベインによって発明されました。その装置は斬新なもので、ベインは特許も取得しましたが、送信側と受信側の同調が難しく実用性が今ひとつでした。この欠点を改良し、現在のFAXの基本形を発明したのが、イギリス人のベイクウエルという人物です。これは、電流が流れると変色する紙に電気信号で情報を移していくというものでした。
この装置は完全ではなかったものの、1851年のロンドン万博博覧会に出品され、世界の関心を集めました。1906年にはドイツ人のコルンとフランス人のベランが写真の電送に成功したのです。写真やイラスト、文字等が書かれた用紙の内容を光電管が正確に電気信号化し、電話回線で送るという精度の高いものでした。この技術はさらに改良され、FAXはパソコンやスマートフォンが普及した現代でも職場、家庭などで活躍し続けています。
FAXDMの歴史
FAXDMは、FAXが普及し始めたときから始められた古典的な広告宣伝の手法です。紙に必要な情報を書込み、番号を押して送信ボタンを押すだけで簡単にできるFAXDMは、販売側からすれば安くて手軽な広告宣伝手法として普及しました。日本では1980年代になって普及し始めましたが、当時はまだ個人情報の認識が今ほど浸透しておらず、無作為にFAXを送りつける悪質な業者も多く、個人をターゲットとした販売にも使用されていました。学校、職場などの連絡網が廃止されるなど個人情報保護が進み、個人に無作為にFAXDMを送りつける手法はほとんどなくなりました。
現在、FAXDMはBtoBの用途や会員向けの商品やサービス販売の用途で使用されるようになっています。FAXDMは、非常にアナログで古典的な広告宣伝媒体ですが、なぜパソコンやスマートフォンが普及し絶滅危惧種とまでいわれるFAXを利用した広告宣伝媒体が、今でも活用され続けているのでしょうか。
その理由は、FAXの普及率と手書きを取り入れられる柔軟さといえるでしょう。現在、FAXの家庭での普及率は34%と登場が古い機器でありながら、そこそこの普及率を誇っています。この数字は家庭用ゲームの普及率よりも高いといわれています。企業に至ってはなんと98%で、この普及率がFAXDMを活用する根拠の一つでしょう。
手書きができるのも重要な要素です。年賀状などを例に出すまでもなく、手書きや手書き風の物は独特の温かみや親近感を抱かせるツールとして今でも根強いニーズがあります。電子メールやウェブは送信すれば瞬時に相手に届きますが、見慣れている分どうしてもどこでも見る広告になってしまいます。
反面、手紙や紙媒体のDMは特別感を感じてもらうのに最適なツールですが、物理的に送達に日数がかかるのです。FAXDMは瞬時に送信できて、手書きもできるメールと紙媒体のいいとこ取りができるツールであるため、現在でも活用されているのです。あらゆるもののIT化が進む現代でもFAXを使ったコミュニケーションはなくなっていません。
多様化した現代のFAXDM
FAXDMを広告宣伝媒体として活用するうえで、単体でただ送るだけでは勿体ないと言わざるを得ません。往々にして情報を受信する側の方は、送信側ほど商品やサービスについて関心が薄いのが実情です。
なぜなら、日々の業務に追われて読まれなかったり、仮に関心があって読まれてもFAXDMの文字数や画像の情報量では、心に響く部分が足りなかったりする可能性があるからです。そのため、FAXDMを送信した後の電話での反響確認や申し込み等の打診はもちろんのこと、DMに会社、商品、サービスなどの情報をより詳細に確認できるようQRコードを添付し、ウェブに誘導するなどの工夫をすることが必要になります。こうした複数の媒体を利用したマーケティング手法はクロスマーケティングと呼ばれます。これにより集客の成功率を大幅にアップさせることができるのです。
現代は従来の紙媒体、FAXなどよりもウェブ媒体やSNS、動画アップロードサイトなどの情報源の方が若い方は接触しやすいのが現状です。また現在、社会全体が高度にデジタル化しており、今後ますますその傾向は強くなっていくのは間違いありません。FAXDMを利用する際はこのようなことを加味し、ぜひとも組み合わせで訴求効果の向上を図るようにしましょう。
まとめ
FAXの普及と変遷、FAXDMの歴史、多様化した現代のFAXDMのあり方について解説しました。FAXは時代とともに進化し、同時に広告宣伝媒体としても変化を遂げています。今後、しばらくはFAXDMの有効性は維持されるものと考えて間違いないでしょう。工夫次第で訴求効果は何倍にも増大する可能性を秘めているためFAXDMを活用する際は、上記のポイントを押さえて実行してみることをおすすめします。