普段の生活では、ほぼ使わないマーケティングファネルという言葉。しかし、マーケティング業務に携わっている方であれば、馴染みのある言葉ではないでしょうか。社内外の会議でも頻繁に使われますが、意味をしっかりと理解していないケースもしばしば見受けられます。今回はそんなマーケティングファネルについて基礎から解説します。
マーケティングファネルとは
まずは、知っているようでしっかりと理解している方が少ないマーケティングファネルとは何か?について解説します。マーケティングファネルは「マーケティング」と「ファネル」の二つの言葉からできています。マーケティングとは「商品やサービスが売れる仕組みをつくること」で、用語も意味も定着しています。続いて「ファネル」ですが、英語でfunnelとなり、漏斗(じょうご)を意味しています。理科の実験などで、口の小さな容器に液体を注ぐときに使う道具というとイメージがつきやすいかもしれません。
この二つの言葉を組み合わせたマーケティングファネルとは、顧客の行動フローをステップに当てはめて定義する考え方で、認知から購入にいたるまでの購買行動を示しています。それでは、もっとも基本的な形を例に解説します。
ファネルの名の通り顧客の購買行動は、認知→興味・関心→比較・検討→購入と逆三角形になります。これは、ある商品を認知した人数に比べ、ステップを進めていくごとに、人数が減少していくことを表しています。
ここでは、映画を例に解説します。ある映画を知った人が、必ずその映画を見るとは限りません。知った(認知)人が100人居たとすると、次のステップである興味・関心に至るのは、60人ほど。さらにそこから、比較・検討に進むのは30人となり、比較・検討の結果、数人が購入に至るという流れとなります。このように、顧客が認知してから購入に至るまでの心理的なプロセスのことをマーケティングファネルと言います。
マーケティングファネルは古い?BtoBでは有効なモデル!
マーケティングファネルはマーケティングにおける心理的なプロセスの基本と紹介しましたが、その一方で、近年「マーケティングファネルの考え方は時代にあっておらず役に立たないのでは…」という声が多くあります。本項では、なぜそのような声が多いのか?そして、マーケティングファネルは本当に時代遅れで役に立たないものなのか?という点について解説します。
まず、マーケティングファネルが古いといわれる理由ですが、大きく分けて二つあります。一つ目は「購買行動の多様化」です。マーケティングファネルでは、顧客の購買行動は、認知から段階を経て購入に至るという直線的な進み方を前提に考えられたモデルです。しかし、近年インターネットが定着し、インターネット検索だけではなく、SNSやYouTubeを始めとする動画サイトなどから多くの情報を得ることができるので、購入までの心理的なプロセスも直線的ではなくなりました。
たとえば、SNSで知った商品に興味を持ち、インターネットを使ってさまざまな情報を検索し比較・検討したが、その時には購入せず、たまたま雑誌を見たら載っていたので、また興味をもち購入したというように直線的ではないケースが増えたからです。
二つ目は「購入後の体験を把握できない」です。一昔前から変わったのは消費者行動だけではなく、サービスを提供する側の企業のビジネスモデルも変化しています。大きな変化の代表的なサービスとしては、サブスクリプションモデルです。これらのサービスにより消費者は、商品やサービスを「所有する」から「利用・体験する」に移り変わりました。そのため、マーケティングでは、継続的な満足度を重視する傾向にあり、そこが測れないファネルは、時代に合っていないといわれる原因となりました。
しかし、これはあくまでもBtoCのビジネスモデルでありBtoBでは依然として、マーケティングファネルは有効なモデルといえます。
マーケティングファネルはFAXDMでどのように活かせるか
それでは、BtoBにおけるマーケティングファネルの事例として、FAXDMでの活用方法を解説します。FAXDMを始める目的は、もちろん「成約(売上)に結びつけること」です。闇雲にFAXDMを送っても成約にはつながらないので、マーケティングファネルを考えます。
一つの例ですが、最初のステップは「集客」です。見込み客を見つけるため、無料冊子などをプレゼントする内容のDMを発送します。次のステップは「育成」です。無料冊子に興味を示した顧客に対して、さらに詳しい内容の動画などをステップメールにて案内し、より興味を深めていきます。
最後のステップは「販売」です。動画などで興味を深めた上で、期間や数量限定、サービス特価などのキャッチを使い、ほかにはないどこよりもよい商品が、今ならお手頃な価格で手に入ると印象付け契約を促します。
このようにマーケティングファネルの段階を踏まなければ、いくらFAXDMを送付しても成約どころか見込み客も作ることができません。
まとめ
今回はマーケティングの基本的な考え方ともいえるマーケティングファネルについて解説しました。顧客の購買行動が多様化した現代において、マーケティングファネルの考え方は適さないという意見もありますが、BtoBマーケティングにおいては、マーケティングファネルを活用し、戦略を立てていかなければ思うような結果は出ないといえます。現在マーケティング分野も複雑化していますが、成果が出ない時には基本となるマーケティングファネルの考え方に沿って分析してみることをおすすめします。