新規顧客の獲得は、営業活動の中でもとくに難しい分野といわれています。どれだけ良い商品やサービスを持っていても、その価値が知られていなければ検討すらされません。手間をかけずに成果を得るには、手法の選び方と活用の仕方がカギになります。今回は、少人数でも実践できる効率的な営業手法について紹介します。
なぜ新規開拓が難しいのか?
新規開拓営業は、どの企業にとっても簡単なものではありません。とくに中小企業の場合、営業専門の人員が限られており、日々の業務と並行して営業活動を行っているケースが多く見られます。
既存顧客の対応に追われ、新規にかける時間が十分に取れないことも少なくありません。また、アプローチ先が自社のことをまったく知らない状態であるため、興味を持ってもらうまでの工数が多く、成約までに時間がかかります。
企業の営業力は母数×反応率×成約率で決まりますが、新規の場合、このどれもが低い状態からスタートするため、成果が出るまでに時間と労力を要するのです。
テレアポや飛び込み営業など、従来の方法もありますが、断られることが前提になってしまう手法は、精神的な負担も大きく、続けることが難しいと感じる人も多いでしょう。
費用対効果の低さを感じて営業活動を止めてしまうこともあります。そのような状況では、限られたリソースの中でも効率よく、着実にアプローチできる手法を見つけることが、営業活動の継続と成果の両立につながっていきます。
中小企業が取り入れたい営業手法とは?
新規開拓営業を効率よく行うには、手間を減らしながらも確実にターゲットに情報を届けられる手法を選ぶことが大切です。最近では、テレアポや飛び込みに代わる方法として、FAXDM(ファックスダイレクトメール)やオンライン営業ツールなどが注目されています。
FAXDMは、企業に対してFAXでダイレクトメールを送る手法です。送信する原稿を作成し、業者を通じて一斉配信するだけで、数百〜数千件の企業へ一気に情報を届けることが可能です。
自社で送信リストを用意する必要がない場合もあり、リスト作成やターゲティングも業者に任せられるというメリットがあります。紙で届くため視認性が高く、開封せずに捨てられるリスクが低いこともポイントです。
とくにFAX文化が残る業界では、高い反応率が期待できます。実際に、FAXDMでセミナーや説明会の案内を送り、安定した集客を実現している企業も多く存在します。FAXDM以外にも、オンラインでの営業活動を支援するツールも有効です。
MAツール(マーケティングオートメーション)やCRM(顧客管理システム)を活用することで、見込み客への継続的なアプローチが可能になります。たとえば、資料請求をした相手に自動でメールを送ったり、閲覧履歴に応じて提案内容を変えるといった対応ができます。
営業活動を属人的にせず、仕組みとして動かせる状態にすることが、効率化には欠かせません。中小企業が時間と労力を抑えながら、成果を得るには、こうしたツールやサービスを組み合わせて活用していくことが鍵になります。
効果を出すための工夫と改善ポイント
どんな営業手法を使う場合でも、ただ実行するだけでは成果につながりません。大切なのは誰に、どんな内容で、どんなタイミングでアプローチするかを考えることです。たとえばFAXDMでは、送る原稿の内容が成果に大きく影響します。
情報を詰め込みすぎたレイアウトや専門用語ばかりで理解しにくい文章では、相手に読んでもらえません。シンプルで読みやすく、自分ごととして受け取ってもらえるようなメッセージを作ることが重要です。
反応率を上げたい場合は、FAXの送信時間帯にも注目するとよいでしょう。多くの企業が始業直後にFAXを確認することが多いため、朝の時間帯に配信することで目を通してもらえる可能性が高まります。
また、週初めや月初など、比較的落ち着いている時期に送ると効果が上がることもあります。さらに、FAXDMにQRコードをつけてWebサイトへ誘導する工夫も効果的です。紙面では伝えきれない情報をWebで補い、問い合わせや資料請求、申し込みにつなげることで反応率が上がります。
営業活動全体としては、成果を振り返る仕組みを持つことが欠かせません。たとえば、どの原稿で問い合わせが多かったのか、送信タイミングによって反応に差があったのかを記録しておくことで、次回の改善に活かすことが可能です。
改善を重ねることで、自社の強みや相手のニーズに合ったメッセージが磨かれていきます。FAXDMのような低コスト手法は、トライアンドエラーを繰り返しながら最適化していくのに適しているといえます。
まとめ
新規開拓営業においては、やみくもに行動するのではなく、自社に合った手法を見極めることが大切です。とくに中小企業は、限られた人材と予算で成果を上げなければなりません。FAXDMのような、低コストで即効性のある手法を活用することで、営業活動の幅が広がります。ただし、成果を出すには一工夫が必要です。ターゲットの選定や原稿の内容、送信のタイミングといった要素を見直し、改善を重ねることで、反応率や成約率は少しずつ上がっていきます。営業の効率化とは、作業を減らすことではなく、価値ある行動に集中することです。正しい手段を選び、継続的に改善する姿勢が、安定した成長へとつながっていきます。